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Japanische Klassiker mit Furigana

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かや

蚊帳

織田 作之助

Lesen Sie 蚊帳 (かや) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.838 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

二十一歳のその娘が二十八歳の妻の顔に似ていたのも、そのためかも知れなかった。顔色もわるかった。罹災して何一つ持っていなかった。いつまでも叔父の家に厄介にもなっておられず、二十一歳の若さで二度目の彼の所へ貰われる気になったのであろう。その哀れさは彼の好みに合っていた。

彼はその娘を貰うことにした。娘の方で急いでいるらしかったので、秋を待たず、夏の式を挙げた。新しい家など見つかる世の中でなかったので、娘は式を挙げたその足で池の前の彼の家へ来た。満員の汽車に乗って新婚旅行でもあるまい。

蚊帳は家政婦が釣った。隣の部屋でつつましく着物を脱いでいた娘は、彼が呼ぶと、浴衣を着て、蚊帳の裾に蹲んだ。

「はいらないと蚊に食われるよ」

言いながら、彼はなくなった妻が何の遠慮もない恋仲だったことをふと想いだしていた。

「はい。――」

おずおずとはいって来た顔は真青だった。隅の方に小さくなって軽く咳をしていたが、彼が引き寄せた途端、激しく咳き出して、白いシーツの上に喀血した。

彼は妻に使っていた止血剤を探して、娘の腕に注射してやった。痩せているが、さすがに若い娘らしく柔い脂肪があった。