Japanische Klassiker mit Furigana
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かや
蚊帳
織田 作之助
Lesen Sie 蚊帳 (かや) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.838 Zeichen · 6 Bildschirme
その中へ針を突き指した時、彼はもうこの娘が自分の妻になってしまったと思った。そしてそれ以上娘の体に触れようという気はなかった。冷やしたタオルを娘の胸にのせるのは、家政婦にさせた。
「済みません」
と、娘は泣いていた。
「謝ることはないよ。君の病気は僕がなおしてあげるから、くよくよしないで、呑気な気でおることだよ」
彼はそう慰めながら、死ぬ前の妻の言葉をふと想いだした。
「今度奥さんを貰う時は、丈夫な奥さんを貰ってね」
彼はこんな風に言いたかった。
「お前に似た女を探したら、やっぱりお前と同じ病気だったよ」
彼はかつてなくなった妻の看病をしていたように、新しい妻の看病をした。違うところは、新しい妻の体には触れようとしない点だった。熱が下っても、彼は新しい妻を娘のままにして置いた。まるでなくなった妻の寿命を縮めた罪亡ぼしのように、彼は自分を押えていた。
新しい妻もこれが当然であるかのように、彼の愛撫を求めようとしなかった。しかし、彼に注射をされる時は、ふと彼女の眼は燃えていた。
注射だけが二人の体を結びつけているのだと、彼は思った。
ある夜、彼は町で夜の女に袖を引かれた。