Japanische Klassiker mit Furigana
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たんぱくせき
蛋白石
宮本 百合子
Lesen Sie 蛋白石 (たんぱくせき) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.056 Zeichen · 25 Bildschirme
さきは、涙をこぼすばっかりで何とも云えなかった。
そして出て行くその時まで、
「またいじめられたら参りますから、
どうぞ、死ぬまでお置き下さいませ。」
とくり返しくり返し云って居た。
千世子は上り口まで送って行った。
汽車の時間に後れるといけないからとようやっと出してやりながら泣きぬれた顔をかくす様にして車にゆられて行く女を見た時も一度呼び返して肩でも抱えてやりたい様に思えた。
後から行く車の幌のすきから、林町の家でもらった中古の小箪笥が遠くまでも見えて居た。
翌々日かなりしっかりした手蹟で安着の知らせと行く先の在所と両親の言伝を書いたさきの手紙がとどいた。
それを千世子はいつもになく引出しにしまったりした。何となし足りないものが有る様に千世子は毎日少しばかりずつ書いたりして暮して居た。
五月の月に入ってから千世子はとうとう旅へ出る事にきめた。
身一つな千世子は気の向いた時着換えを入れた小さなドレッスケースを一つ持って新橋へさえ行けば事がすむんだった。
天気の静かな日が二三日つづいた時千世子は何とはなし落つきのない心を抱えて林町へ行った。
せわしそうに妹に、