Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Lesen Sie 西班牙の恋 (スペインのこい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.387 Zeichen · 49 Bildschirme
ってね。それで貰っては来たんだが、何が這入っているのだろう」
兄が包を解きますと、中から笛が出て来ました。しかも立派な銀笛で、それには一面に鳥や獣の不思議な形が彫ってあって、精巧を極めたものでした。
「何んだい、こりゃ! 笛じゃないか。それも安価く無い銀笛だぜ」兄は如何にも驚いたように、寧ろ呆れたというように、こう云って笛を見詰めました。
「乞食の小娘から貰ったなんて、いい加減のこと兄さん云ってるわ。どこかで買っていらっしゃったのね」私は笛が安価物で無くて、値打のある品だと思いましたので、兄の話を信じませんでした。乞食がお金を貰った代りに物を呉れるということは、珍らしいことではありませんけれど、そんな時乞食の呉れる物は、木で作った粗末な雉笛か、土で作った人形ぐらいのもので、彫刻のある立派な銀笛など、呉れそうにもないのでございます。
けれど私がそう云っても、兄は矢っ張り今云った言葉を繰り返すばかりでございました。
「これは何んでもボヘミヤ彫りだ。頗る珍らしい彫刻だ。音色も大方佳いだろう」
などと云って兄は一つ一つ叮寧に穴を覗いたり、透かして眺めたり致しました。