Japanische Klassiker mit Furigana
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スペインのこい
西班牙の恋
国枝 史郎
Lesen Sie 西班牙の恋 (スペインのこい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.387 Zeichen · 49 Bildschirme
間も無く私は挨拶をして、兄の室を出たのでございます。そして、二つほど室を隔てた自分の寝室へ帰りまして、ベットに寝たのでございます。私は疲労れて居りましたので直ぐうとうとと致しました。
と、どうでしょう。睡眠を通して――私の快い睡眠を通して、微妙な一筋の音楽の音色が聞えて来るではございませぬか。ああ兄が銀笛を吹いているそうな――私はうとうとしていながら、そう思ったのでございます。そしてうとうとしてい乍ら、巧みな兄の吹奏に聞き惚れていたのでございます。大変寂しい、悲しそうな、葬式の時にでも吹きそうな、気味の悪い調べ方でございましたのに、夜もこんなに遅いのだから、止めればよいにと思い思い、矢っ張り聞き澄して居りました。すると、其時、戸外の方から、突然異様な物音が、銀笛の調べに合わせ乍ら、吹き募った嵐を貫いて、パンパンパンと聞えて来ました。それに稀れではありましたけれど、確にあなたの仰有ったように、チリチリチリという鈴の音が一緒に聞えて参りました。人間が咳をするような山羊の鳴声も聞えて来ました。誰か手太鼓を打ってるそうな――パンパンパンという其音が手太鼓の音だと知ったのは、少し経ってからでございます。