Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
よほど夢中になっていたのだろう、水槽を一廻りしたとき、私はへとへとに疲れていた。
「じゃ、こんどは家鴨をご覧になりませんか? 池に放し飼いにしてあるんですよ。どうです。散歩がてらに」
私の疲労を察したのか、「散歩」という言葉に力をこめ、博士は誘った。それは、そろそろ四時近い時刻だったろうか。
博士と私とは、研究所の建物の裏にまわり、疎らな雑木林の中に歩み入った。百米ほど進んだとき、正面に曇り日の光を受け、鏡を伏せたように輝く結氷した池の面が見えた。四月の初旬とはいえ、この地方はまだまだ冬の気候で、氷の上を吹いてくる風はかなり冷たい。葉を落した林の道に、ときどきかすかな音が立つのは、どうやら野鳥らしい。
池は、ちょうど一周四百米のリンクを思わせる広さである。真中に浮御堂のような小舎があって、博士を先に、私たちは氷の上をあるき、その小舎に入った。不思議なことに、家鴨はまだ一羽も見えなかった。
おそらく助手の夫人の一人だろう、一人の若い女性が、双眼鏡を首にかけて、喰い入るように窓から池の一角をみつめている。その方向を眺めて、やっと私は納得した。池のその部分は結氷を避けるために囲ってあり、その水溜りに、群をなして家鴨がいたのである。