Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
今夜の月」
彼女の目が語るとおり、東の空に蜜柑色の巨大な月が顔を出して、それがいま、ちょうど影絵になったビルの頂上をはなれようとしていた。
「ながいあいだお世話になったわ。でも、今夜ここを立ちます」
「え? 今夜?」
「ええ」
彼の目は無言だった。しばらくは、彼女の目もなにもいわなかった。
「私の休暇は、今日でおしまいになったの。それで、べつの星に、そこの生物に生まれかわりに行かなくちゃならないのよ」
「生まれかわる?」
「ええ。まだまだ知能の遅れた星がいっぱいあるのよ。そこの星の生物の心の指導者になりに行くの。その星で、しばらくその星の生物になってから死んでみせるの。つまり生き方のモデルね。……そこの星では、私のことを神さまなんて呼ぶのよ」
「神さま?」
「ええ。あなたの星の生物たちのあいだには、神さまはない?」
「あったよ。だけど男だった」
「女の神さまの星もあるのよ。そこでは指導者らしく、いちばんその星の生物のイメージの中での、崇高で美しいすがたになることになっているの」
「じゃ君は、神さま?」
「ちがうわ。向うでそう呼ぶっていってるだけ。それに私、この星には、ただ休暇をつぶしにやってきただけですもの」