Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
それもいいじゃないか。
青年はうなずいた。ベッドを直すふりをし、慎重に第二の録音器のないのをたしかめると、彼女を両手で抱え上げた。
四十歳を越えた彼女の皮膚はゆるみ、ながいあいだの舞台化粧で荒れたその顔の肌には、おぞましいほどの皺があった。しかし、青年はせいいっぱいの努力でその女体を抱き、もはや完全な義務と化してしまっているいつもの愛撫の順序を、忠実にたどりはじめた。
ドアの閉まる音がひびいた。
音の消えた部屋の中で、彼女はうすく目をひらいた。
青年の若い肉体の香りが、ごくかすかに、しかし鋭くまだ匂っていた。
「……やっぱり、思っていたとおりだったわ。私って、あなたの顔を見ていると、あなたのためだったら、どんなことでもしてあげたいとしか考えられなくなっちゃうのね。なんでも、あなたのいいなりに、あなたのいいようにだけしてあげたくなってしまう。……あのテープだって、訊かれたらやはりかくしてはおけなかったわ」
まるですぐ目の前に青年がいるみたいに、彼女は声に出していった。
「あなたが私をひとつも愛してなんかいないってことは、最初から知っていたわ。だから、いつもこれが最後だという気がして、いままで何本テープをとったかわからないわ。