Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
あいにくと、たいした持ち合わせもない。彼には行き場所がなかった。
だが、その孤独感は、妙にいさぎよいような味もあって、べつに悪い気分ではなかった。口笛を吹きながら彼は月の光の照る道路の中央を歩いて行き、車を拾い、新宿に出た。ラーメンを食べると、モダン・ジャズの店に寄った。三曲ほど聞いてから、深夜喫茶へと脚を向けた。すこし眠るつもりだった。
ルックス制限でわりと明るい店は、煙草の煙があいまいな渦をつくり、ボックスは満員だった。労働者ふうの汚ない手拭を首に巻きつけた男が、通路に長靴を突き出したまま巨大なイビキをかき、その向うに、若いB・Gふうの娘たちが一塊りになって、あどけなく口を開けた顔をもたせあうようにして眠っている。ふと、恋人どうしらしい男女が、頬をくっつけて睦まじげにひそひそとしゃべりあっている席が目に入った。二人の向い側のシートが空き、そこにしか空席がなかった。
彼は坐った。若いカップルは、露骨にさも迷惑そうな目つきでジロジロと彼をながめた。
だが、彼には動く気はなかった。べつに、二人の仲の良さをひやかすつもりも邪魔をするつもりもなく、ザラにあるそんな若い二人づれなんかに特別の興味はない。