Japanische Klassiker mit Furigana
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きく
親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選
山川 方夫
Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme
それが、ふいに彼に昨夜のいっさいを思い出させた。
午前中に、昨日録音したあのテープを、適当に時間に合わせ切ったりつなげたりもしなければならない。彼は卓のナプキンで洟をかみながら立ち上った。卓に紙屑をころがし、そのついでになに気なく赤革の手帖をつかむと、ポケットにすべりこませた。
店を出ると、五月の朝の日光が、一面に撥ねるような輝きを撒き散らして、それが目に痛いほど目映ゆかった。大きく伸びをすると、彼は局に行くために地下鉄の駅に歩いた。そのころは、彼はすっかり手帖のことなどは忘れていた。
彼が、ポケットの中の手帖に気づいたのは、午後も三時すぎになって、局の近くのレストランで、その日の二回目の食事をした直後だった。小銭入れをさぐると、指が硬いものに当った。彼は手帖を引っぱり出し、中を読んでみる気をおこした。椅子に坐り直し、あらためて珈琲を註文した。
『どうしてあやまるの? 私に』
パラパラと頁をめくると、そんな字が出てきた。その前の頁は白く、それが筆談の最初であり、娘のほうからの質問であることは、前後からみてほぼ間違いはなかった。
『ワカってるはずだよ』