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Japanische Klassiker mit Furigana

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きく

親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選

山川 方夫

Lesen Sie 親しい友人たち 山川方夫ミステリ傑作選 (きく) von 山川 方夫 (やまかわまさお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 67.486 Zeichen · 144 Bildschirme

Aozora Bunko

妻は、いっさいを了解した。

ふいに、目に熱いものがあふれてきた。涙だった。なぜか妻にはその涙は、あの恐怖から解放された安心の涙、生命が助かったよろこびの涙ではなく、まして夫と別れ、たぶん守谷といっしょになれることの、そのうれしさの涙でもないのだという気がした。そのとき、彼女の意識には、あれほど真剣に、一途に愛してくれたあの夫しかなかった。きっと、この涙は、あの夫を永遠に失くしたかなしみの涙なのだ……

「……お気の毒に」と看護婦がいった。「あなたを運んできて下さった方もとても同情して、かわいそうに、ってばかりおっしゃってましたよ。そして、奥さんに、この手紙を渡してくれ、って……」

手紙を受けとりながら、妻は訊いた。

「どこにいるの? その方」

「それが、通りすがりの者だとだけで、名前もおっしゃらずにお帰りになってしまって……」

ふと、胸に閃くものがあった。妻は小さく折り畳まれた白い紙を目の前でひらいた。

『うまくやったな』見憶えのある守谷の字がならんでいた。『わかっている。君は、あいつをはじめから気絶させてあの席にのっけといた。ごまかさなくてもいい。その証拠は、僕に車には君一人しか見えなかったことだ。