Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
」
夫人の性格の中には、やさしさとか素直さとかは、薬にしたくもなかった。すべてが、皮肉で、意地わるで、厭がらせで、しかも鋼鉄の針のように、鋭かった。
だから、素直に、正面からやきもちを焼くなどということは、彼女の誇が絶対にさせないことである。
(どう? こう、私が云えば貴君は、何も文句はないでしょう)と、そんな眼顔で、準之助氏をながめやりながら、夫人はもうこのことは、片づいたと云わんばかりに、
「何時かしら、添田さんは、随分遅いわねえ。」と、空うそぶいている。
準之助氏は、心の中の烈しい動揺を、じっと抑えて、
「南條さんは、帰るとすれば、いつ帰るのかね。」と訊ねてみた。
「あの人も、憤り虫らしいから、私に暇を出された以上、一晩だってこの家にいないでしょう。もう帰ったのかもしれないわ、貴君にご挨拶もしないで。そうそう、さっきの自動車、あれで帰ったのかもしれないわ。」
温柔な良人の顔を、馬鹿にしたような笑顔で見やった。
先刻、自動車のエンジンや警笛が聞えた時、不思議がって訊くと、白ばくれてだまっていながら、今になって、と思うと、準之助氏は思わず、湧き上る怒をじっとこらえたが、顔の表情は、あやしく歪んだ。