Japanische Klassiker mit Furigana
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ていそうもんどう
貞操問答
菊池 寛
Lesen Sie 貞操問答 (ていそうもんどう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.240 Zeichen · 399 Bildschirme
美和子も、涙をこらえていた。彼女は、自分が、美沢と交際することが、こんなにまで姉を苦しめるとは思っていなかった。幼かったとき、姉がよく玩具などについての無理を聞いてくれたほどの手ぬるさで、許してくれると思っていた。だって、お姉さまは、美沢さんに不即不離だったんだもの、私の方がハッキリ愛しているんだものと、思っていた。だから、姉がこんなに狼狽し、こんなに悲しがるとは思わなかった。それで彼女も、悲しくなって、うつむいて、靴下の爪先に、ぽたりと涙を落した。
しかし、もうどうすることも出来なかった。
その涙も、一分も経たない内に収まってしまうと、かの女は、姉に露骨にいってしまった晴々した幸福の方が、ムズムズ強くなった。
お姉さまは、何とかあきらめて下さるに違いないと思った。
日曜日ごとに会おうということは、本当は美和子の方からいい出したので、今日も美沢がほかに用などの出来ない内にと、一刻も早く出かけたかった。
「お姉さんが、こんなに急にお帰りになると思わなかったんだもの……だから不意にこんなこといっちゃって……」いいわけにもならぬことをいいながら、階下へ降りる機会を、計っていた。