Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.416 Zeichen · 53 Bildschirme
「もうもちますまいか」
「そうらしいな」登は枕許からはなれた、「もう人間の手には負えないようだ」
「こんないい人を」と治兵衛は太息をつきながら云った、「ろくでもない娑婆塞げがうじゃうじゃいるのに、こんないい人間をとられるなんて、神ほとけを恨みたくなりますよ」
若い女房が登に茶を淹れて来た。
「今日は裏が静かなようだな」登は茶には手を出さずに訊いた、「地均しは終ったのか」
「いや、町方の調べがあるので、それが済むまで手がつけられないのです」
「なにかあったのか」
治兵衛はいやな顔をし、それから、声をひそめて語った。
裏の崖崩れの跡を均していたら、蒲団に包まれた死躰が出て来た。すっかり腐って、殆んど骨ばかりになっていたが、蒲団の綿がしっかりしていたためだろう、頭から手足まで揃っており、若い女だということも、着物の残り切れや、たっぷりある髪の毛などですぐにわかった。――七年まえ、崖崩れで土が動いたから、元の場所ははっきりわからない。潰された長屋より上にあったと思えるが、その状態から察すると、殺して埋めたものに相違なく、今日は町方が調べに来る筈である、と治兵衛は云った。