Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.416 Zeichen · 53 Bildschirme
「いま平吉の云ったことも、ただ飲んだくれのくだだと、笑ってしまわないで下さい、貧乏人はたいてい、あんなふうに考えているものです」と佐八はまた云った、「一日々々がぎりぎりいっぱい、食うことだけに追われていると、せめて酔いでもしなければ生きてはいられないものです」
「それもわからないことはないが、中には佐八さんのような人もいるからな」
「私ですか」
佐八はぼんやりとそう云い、湯呑を取って、寝たまま巧みにもう一と口水をすすった。
「私は、この長屋の人たちに、自分がなんと云われているか、知っています」佐八は湯呑を置いて云った、「差配の治兵衛さんが、新出先生や貴方に話したことも、みんな聞いていました、――とんでもない、勿体ない、みなさんはなにも知らないから、私のことを褒めたりするんです、本当のことを知ったら、私がどんな人非人かということを知ったら、みんなは睡もひっかけやしないでしょう」
「話というのはそのことか」
「そうです」と佐八は頷いた、「これまでは誰にも云わなかったし、人に気づかれはしないかと、いつもはらはらしていました、しかしもう、私も長いことはない、今日のうちか、もっても明日いっぱいでしょう、いや、なにも仰しゃらないで下さい、つまらないことを云うとお思いになるかもしれませんが、昨日から迎えが来ているんです」