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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.416 Zeichen · 53 Bildschirme

Aozora Bunko

佐八はそれから精いっぱい稼いだ。月にいちど、入谷の田圃でおなかと逢った。おなかの家は浅草山谷にあり、毎月いちど、暇が出て父のみまいにいく、その日にうち合せをして逢い、田圃道を山谷の近くまで送るのであった。佐八は酒の飲めるたちだったが、その酒もやめ、つきあいの遊びもやめた。ちょうど友達なかまで新内節がはやっていて、佐八も半年ばかり稽古にかよっていたときだったが、それもぴたりとやめて稼ぎに稼いだ。

こういうひたむきな気持が通じたのだろう、おなかもやがて心をきめ、年期があけたらいっしょになろうと約束した。佐八は家族に会いたいと云ったが、それだけはおなかが承知せず、家の近所へ近よることさえ、いこじなくらい強く拒みとおした。

――いまはどうしてもいやなの、いっしょになるまで待ってちょうだい。

理由はあんまりみじめだから恥ずかしい、ということであり、佐八もしいてとは云いかねた。けれども、あとでわかったことだが、もっと深い、ぬきさしならぬ理由がほかにあったのだ。

一年のち二人は夫婦になった。佐八が親方へすべてを話し、親方が越徳へいってくれた。越徳では渋ったが、借金をきれいに返し、自分が親代りになると云って、ようやく承知をさせたのである。