Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme
「いや、反対だ、藤吉からはなさなければいけない」と去定は云った、「これまで猪之のして来たいろいろなことは、みんな藤吉を困らせるためにやったことだ、自分ではもちろんそうは思わないだろう、しぜんにそうなったと信じているだろうが、心の底では藤吉を困らせることで藤吉にあまえ、藤吉と自分とを繋いでおこうとしていたのだ」
登は黙って眼をおとしたが、やがてそっと、あいまいに頷いた。
「明日こっちへ引取ってやろう」と去定は机のほうへ向き直って、筆を取りながら云った、「藤吉とはなして、暫く放っておけばよくなるだろう、――人間の頭脳のからくりほど、神妙でふしぎなものはないな」
翌日、猪之は養生所へ引取られた。
藤吉には去定の診たてを告げて、決してみまいに来ないように、と念を押した。登は去定の診断をあまり信じなかった。なんとなく理詰めすぎるし、都合よく付会しているように思われたので、登は登の立場から治療の手掛りをつけようと考えた。――猪之は一人だけべつの部屋へ入れた。当人がほかの者といっしょではいやだ、特に病人でも年寄でも、女のいるところは困ると云い張ったし、去定もそれがよかろうと、好きなようにさせたのである。