Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.351 Zeichen · 43 Bildschirme
それから夏いっぱい、登は暇をみつけては彼の部屋へゆき、茶菓子をすすめたりしながら、さりげなく話しかけ、また彼から話をひき出すようにした。
「誰もみまいに来ないな」と或る日、登は暗示をかけた、「誰かみまいに来てもらいたい者はないのか」
猪之はむずかしい顔つきで考えこんだ。
「佐久間町が来そうなものじゃないか」と登はもう一と皮切り込んでみた、「来てくれるように使いを出そうか」
「いや、よしましょう」猪之はきっぱりと首を振った、「あにきはいそがしいからだだし、来てもらったってどうということもねえから」
登はそこでその話を打ち切った。
夏を越すころになってもようすに変化はなかった。殆んど部屋にこもったきりで、夕方ちょっと庭へ出るほかは、なにもしないでぼんやり時をすごしている。
以前のような奇矯なまねをしないというだけで、恢復に向かうという兆しは少しも認められなかった。
「どうして女が嫌いなんだ」登はそう訊いてみた、「男でいて女が嫌いだなんておかしいじゃないか」
「嫌いじゃねえさ」と猪之は答えた、「女は嫌いじゃありませんよ」
「だってここへはいるとき、病人でも年寄でも女のいるところはいやだと云ったろう」