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Japanische Klassiker mit Furigana

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あかひげしんりょうたん

赤ひげ診療譚

山本 周五郎

Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme

Aozora Bunko

――登はまず父の部屋へ呼ばれ、母もそこへ坐って、これから内祝言の盃をする、ということを告げられた。登はいやだと答えた。内祝言の盃、という言葉で、またちぐさとのことが頭にうかんだのである。母はすぐにそれと感づいたようすで、膝を進めながらなにか云おうとした。けれども父の良庵が首を振ったので、云いかけたまま口をつぐんだ。

「これは天野さんからの望みで、私も承知をしたことだ」と父はいつもの温厚な調子で云った、「三月には祝言をするのだから、いま内祝いの盃をしても差支えはないだろう」

「三月に祝言をするのですから、いまそんなことをする必要はないと思います」

「しかしこれは習慣なのだ」

登は返辞をせずに床の間を見た。青銅の花器に松と梅もどきが活けてあり、行燈の光から遠いためもあろうが、百年もまえから見馴れているように、退屈で鬱陶しく、飽き飽きした感じにみえた。

――松と梅もどき、いつもこれだ。

母はただ習慣で活け、父にはこの無神経な、繰り返しだけの退屈さがわからない。これならいっそなにも活けないほうがいいじゃないか、と登は心の中で呟いた。彼が沈黙したのを、承知したものと合点したらしい、父はさも安堵したように、「では支度をしてくれ」