Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme
「三日経ったら来いということだ」
「あたし伴れて帰ります」とおかねはけしきばんで云った、「ここの先生なら、困っている者の子は始末してくれる、薬礼も只だと聞いたから来たんです、こんなことなら少しぐらい金を遣うほうが手っ取り早く片がつくんですから、どうか娘を呼んで来て下さい」
登は勝手にしろと思った。しかし去定は頑として承知せず、おかねは繰り返し「三日」と期限を切って、ようやく帰っていった。初めの哀れげな、懇願するような態度とは逆に、まるで威たけ高な、恩にきせるような口ぶりになり、頬骨の張った肉の厚い顔には、人を見さげるような色を湛えていた。
「どういうつもりでしょう」と登は忿懣を抑えかねたように云った、「金を遣ってでもすぐに子の始末をすると云っていましたが、なにかわけがあるのではないでしょうか」
「そろそろでかけたらどうだ」と去定が云った、「あとは森と二人でやるから、支度をして麹町へゆくがいい、もう三時をまわったぞ」
登は立ちあがった。
麹町の家には天野源伯夫妻とまさをが来て待っていた。いまにも降りだしそうな日で、空には濃い鼠色の雲が低く垂れていたが、家の中ではまだ四時まえなのに、もうすっかり灯がいれてあった。