Japanische Klassiker mit Furigana
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あかひげしんりょうたん
赤ひげ診療譚
山本 周五郎
Lesen Sie 赤ひげ診療譚 (あかひげしんりょうたん) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.146 Zeichen · 40 Bildschirme
おえいはにっと笑い、ないしょ話をするように、去定に向かって囁いた、「先生、――あたいほんとは、ばかのまねをしているのよ」
「よし、それはもう三度も聞いた」
「ほんとよ、先生、ほんとだもの」とおえいはなお云った、「奉公していて、十二のときに、土蔵へ荷入れを手伝っていたら、梯子段から落ちて頭や背中を打ったの、そのときあたい、ばかになったふりをしようって思ったのよ、ほんと、ほんとはばかじゃないもの、あたいちゃんと赤ちゃんを育てられますからね」
「保本、――」と去定が振向いて云った、「控所に母親がいるから、二三日預かると云ってくれ、三日経ったらまた来るように、それまでに云い聞かせておくと云ってくれ」
登が控所へゆくと、おかねが向うからとんで来、登の言葉が終るのも待たずに、じりじりした口ぶりで不平を云った。
「どうしてそんな手間をかけるんでしょう」とおかねは厚い唇を尖らせた、「もともとばかで強情なんだから、云い聞かせたってむだなんですがね」
「本人が承知しないものはしようがない」と登は答えた、「ばかでもこけでも、子を持ちたいという女の気持に嘘はないからな」
「じゃあ、あのばか娘にばかを産ませようというんですか」