Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちかごろかんじたこと

近頃感じたこと

小川 未明

Lesen Sie 近頃感じたこと (ちかごろかんじたこと) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.765 Zeichen · 8 Bildschirme

Aozora Bunko

けれど、翌日になって、来て見ると、前日に変りなく、かつて何事も起らなかったように、黒い、小さな影は、あたり一面に動いていました。いかに多数でも、かぎりがあるから、根絶やせないはずはない。やはり、薬がきかないのだと思って、いろ/\新しい薬を求めて来ました。どれにしても、ウエノトロン、もしくは、ニコチン製のものだったろうが、園芸の領野が広いだけに、沢山会社もあるものだと思いました。

ついに、この種の薬は、他の虫にはきいても、ありだけには、絶対的の信用が置けぬことを悟りました。それは、ありが薬に抵抗力の強いばかりでなく、全く、薬を使用しきれぬ程の多数群であるのと、人間でも及ばぬ、堅ろうな組織を有するからでした。

たま/\、学校へ出られる途すがら立寄られた横山博士に、何か、ありを退治する良い薬はないものですかとたずねたのです。博士は、敬虔な生物学者に共通の博愛心から、「かわいそうにな、ありは、勤勉な虫だが、どういうものか、みんなにきらわれる。熱湯でもかければ、死ぬには死ぬが……」と、答えられたのです。

「ありと蜂」の生活についてファーブルに比すべき研究のあったこの人に、かくのごとき質問をするのは、間違っていたと、私はすぐに気付いたのでした。