Japanische Klassiker mit Furigana
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さといものめとふどうのめ
里芋の芽と不動の目
Lesen Sie 里芋の芽と不動の目 (さといものめとふどうのめ) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.494 Zeichen · 10 Bildschirme
博士は純粋の江戸子で、何か話をして興に乗じて来ると、巻舌になって来る。これが平生寡言沈黙の人たる博士が、天賦の雄弁を発揮する時である。そして博士に親しい人々、今夜この席に居残っているような人々は、いつもこういう時の来るのを楽み待っているのである。
博士は虚になった杯を、黙って児髷の子の前に出して酒を注がせて、一口飲んで語り続けた。
「金が何だ。会社は事業をするために金がいる。己はいらねえ。己達夫婦が飯を食って、餓鬼共の学校へ行く銭が出せれば好い。金を溜めるようなしみったれは江戸子じゃあねえ。」
こういう話になると、独り博士の友達が喜んで聞くばかりではない。女中達も面白がって聞く。児髷の子供も、何か分からないなりに、その爽快な音吐に耳を傾けるのである。
胡麻塩頭を五分刈にして、金縁の目金を掛けている理科の教授石栗博士が重くろしい語調で喙を容れた。
「一体君は本当の江戸子かい。」
「知れた事さ。江戸子のちゃきちゃきだ。親父は幕府の造船所に勤めていたものだ。それあの何とかいう爺いさんがいたっけなあ。勝安芳よ。勝なんぞも苦労をしたが、内の親父も苦労をしたもんだ。