Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のわき

野分

夏目 漱石

Lesen Sie 野分 (のわき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.508 Zeichen · 189 Bildschirme

Aozora Bunko

「何物ってやはり普通の人間ですよ。世の中をだますために人を雇いに来たのです。呑気なものさハハハハ」

「どうも驚ろいちまう。私なら撲ぐってやる」

「そんなのを撲った日にゃ片っ端から撲らなくっちゃあならない。君そう怒るが、今の世の中はそんな男ばかりで出来てるんですよ」

高柳君はまさかと思った。障子にさした足袋の影はいつしか消えて、開け放った一枚の間から、靴刷毛の端が見える。椽は泥だらけである。手の平ほどな庭の隅に一株の菊が、清らかに先生の貧を照らしている。自然をどうでもいいと思っている高柳君もこの菊だけは美くしいと感じた。杉垣の遥か向に大きな柿の木が見えて、空のなかへ五分珠の珊瑚をかためて嵌め込んだように奇麗に赤く映る。鳴子の音がして烏がぱっと飛んだ。

「閑静な御住居ですね」

「ええ。蛸寺の和尚が烏を追っているんです。毎日がらんがらん云わして、烏ばかり追っている。ああ云う生涯も閑静でいいな」

「大変たくさん柿が生っていますね」

「渋柿ですよ。あの和尚は何が惜しくて、ああ渋柿の番ばかりするのかな。――君妙な咳を時々するが、身体は丈夫ですか。だいぶ瘠せてるようじゃありませんか。