Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

花前はかえって人のいつわりおおきにあきれて、ほとんど世人を眼中におかなく、心中に自分らをまで侮蔑しつくしてるのじゃないかとも思われる。さりとてまた、五十になる身を人にたくして、とんと人と交渉しえない、世にもあわれな人間とも思われる。

主人が妄想に落ちて、いたずらに立てるあいだに、花前は二頭三頭とちゃくちゃくしぼり進む。かれは毅然たる態度でそのなすべきことをなしつつある。花前は一面あわれむべき人間には相違ないが、主人も花前を見るにつけ、みずからかえりみると、確信なきわが生活の、精神上にその日暮らしである恥ずかしさをうち消すことができなかった。

「だんな、くそがはねますよ、すこしどうかこっちへきてください」

そういう兼吉は、もはや飼い葉をすませて、おぼれ板の掃除にかかったのだ。うまやぼうきに力を入れ、糞尿相混じた汚物を下へ下へとはきおろしてきたのである。

「湯が煮たったから、ふすまをかいておくれ、兼吉」

流し場から細君の声で兼吉はほうきをおいて走っていく。五郎はまぐさをいっせいに乳牛にふりまく。十七、八頭の乳牛は一時に騒然として草をあらそいはむ。そのあいだにも花前はすこしでも、わが行為の緊張をゆるめない。