Japanische Klassiker mit Furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme
自分に意識がなければ自分はこのままでもすぐ花前になることができるとすれば、花前はけっしてうらやむべきでないのだ。
大悟徹底と花前とは有と無との差である。花前は大悟徹底の形であって心ではなかった。主人はようやく結論をえたのであった。主人はこの結論をえたにかかわらず、さらば自分の生活にどれだけの価値があるかと思うてみて、やはりわけがわからなくなった。花前と大悟徹底とは、裏表であるが、自分と大悟徹底とは千葉と東京との差であるように思われた。
ここ一、二年水害をまぬがれた庭は、去年より秋草がさかんである。花のさかりには、まだしばらくまがありそうだ。主人はけさも朝涼に庭を散歩する。すいれんの花を見て、去年花前がきたのも秋であったことを思いだす。この日、主人は細君より花前の上について意外な消息を聞いた。
花前は、けさ民子をだいてしばらくあるいておった。細君はもちろん、若衆をはじめ下女までいっせいにふしぎがったとの話である。それは実際ふしぎに相違ない。これまでの花前にして、子どもをだいてみるなぞは、どうしても破天荒なできごとといわねばならぬ。
下女の話によると、タアちゃんはこれまでもときどき、花前、花前といって花前のところへいき、花前もタアちゃんの持っていったお菓子を食べたようすであったという。