Japanische Klassiker mit Furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme
元来は帰すべきでないものを帰したのであるから、もと悪人ならぬ老人は長く良心の苦痛にせめられた。それのみならず気違いはその後、里に帰っても里にいず、こじきとなって近村をふれ歩いた。たちがたき因縁につながる老人は、それがためまたあきらめてもあきらめられぬ羞恥の苦痛をおいつつあったのである。このごろ老人もようやく忘れんとしつつありしをきょうは耳新しく、その狂婦もなくなったと告げられ、苦痛の記憶をことごとく胸先に呼びおこして、口にいうことのできないいやな心持ちに胸がとざされたのである。
その凶報はおだやかなりし老人の胸を攪乱したばかりでなく、宵祭りを祝うべき平和な家庭をもかきにごした。
大富からの告げ人と聞いたお政は手のものを投げだしてきた。懇切に使いの人の労を感謝したうえに、こまごまと死者のうえについての話を聞こうとする。老人はお政がでたをさいわいに奥へはいったままでてこない。まま母もそれを聞いてちょっとあいさつにでたぎり寄りつかない。源四郎は馬小屋にわらなどいれている。
ひとりお政はたとえ気違いでもこじきでも、正しき生みの母である。あたたかき乳房に取りすがって十二のときまで保育を受けた母である。