Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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つげびと

野菊の墓

伊藤 左千夫

Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme

Aozora Bunko

ただの町獣医の妻では親類に会わせる顔もないと思うから、どう考えてもあきらめられない。それであけても暮れても欝うつたのしまない。

なにかといっては月のうちに一度も二度も里方へ相談にいく。なんぼ相談をくりかえしても、三人の子持ちとなった女はもはや動きはとれない。いつもいつも父母兄弟から相も変わらぬ気休めをいわれて帰ってくる。

運がわるいのだ、まがわるいのだ。若くて死ぬ人もいくらもある世の中だ。あきらめねばなるまい。あきらめるよりほかに道はない。こう百度も千度もくりかえして、われと自分をいさめてみても、なかなかその日がおもしろいという気になれないのだ。

糟谷は細君がどういうことをしようといやな顔もしないから、さすがに細君もときには自分のわがままを気づいて、

「わたしがなにぶん性分がわるいものですから、わたしも自分の性分がわるいことは心得ていますけれども、どうもその今日をおもしろく暮らすという気になれませんで、始終あなたに失礼ばかりしておりますけれども」

などと遠まわしにわび言をいうことさえあるのである。

種畜場以来この人を知ってる人の話を聞くと、糟谷の奥さんは、種畜場にいた時分とはほとんど別人のようにおもざしが変わってしまった、以前はあんなさびしい人ではなかったというている。