Japanische Klassiker mit Furigana
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つげびと
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (つげびと) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.955 Zeichen · 71 Bildschirme
「どうも面目ありません」
ほとんど人のみさかいもないように見えた細君も、礼子や下女や増山の家内から、いろいろなぐさめられていうがままに床についた。やがて増山夫婦も帰った。あとへ深川の牛乳屋某がくる、子宮脱ができたからというので車で迎えにきたのである。家のありさまには気がつかず、さあさあといそぎたてるのである。糟谷はとつおいつ、あいさつのしようにも窮して、いたりたったりしていた。
子宮脱はかれこれ六時間以上になるという。いちばん高い牛だから、気が気でないという。糟谷はいかれないともいえず、危険な意味ある妻を下女と子どもとにまかせてでるのはいかにも不安だし、糟谷はとほうに暮れてしまった。おりよくもそこへ西田がひょっこりはいってきた。深川の乳屋も知ってる人と見え、やあとあいさつして遠慮もなくあがってきた。
「うちでしたな、えいあんばいであった。じつはころあいのうちが見つかったもんですからな」
西田の声がして家のなかの空気は見るまに変わってしまった。陰欝な空気が見るまにうすらぐような気がした。糟谷は手短にきょうのできごとから目の前の窮状を西田に語った。
「うん、きみもかわいそうな人だな、なるほど奥さんも無理はない。