Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme
自分のなすべき事は、ただおっくうで気が向かなく、とかくこんなふうにばかり考え込む、こりゃいけない。
矢野はこうなると、いつでもすぐ大木のところへ出かける。矢野は大木に会えば、会ったばかりで胸のこりが半分とけてしまう。だから会っても深酷な話はひとつもない。例のごとく、こしゃこしゃした笑顔で、不順序に思う事をいう。矢野が少し話をすれば大木はすぐのみこんで同情する。抱いて暖めるような態度で、大木に慰められるとたわいもなく心が落ちつく。
「東京で君毎日何人ぐらいづつ人が死ぬと思う。おれは不仕合わせだ、おれにはなにもできないらしいと、一筋に思うその心が君を不仕合わせにするのだ。飢えて飢えてたまらない時ににぎりめし一つは君非常にうれしいだろう。人間は自分を零にしてかかれば、一日でも世に生きているということがありがたくなる。自分を不仕合わせにするような考えはやるもんでない。」
矢野も大学生だからこのくらいのことはわかってる。わかっておったとて、人間がそう無造作に自分を零にされるものではない。矢野は苦しくなれば大木の話を聞くよりほかに慰藉の道はないと思ってる上に、大木のいうことはさからうことのできない、適切な実証についての話だから、矢野もそれで心を決定せねばならぬように押しつけられる。