Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼ
野菊の墓
伊藤 左千夫
Lesen Sie 野菊の墓 (おちぼ) von 伊藤 左千夫 (いとうさちお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 25.621 Zeichen · 52 Bildschirme
自分らの子供のころに、たこを飛ばし根がらを打って走りまわった時には、もっときれいにかわいておった。確かにきれいであった。
自分は悵然として産土の前に立ちどまった。そうして思いにたえられなくなって社の中へはいった。中でしばらくたばこでも吸って休んで行こうと思ったのである。
物心覚えてから十八までの間、休日といえばたいていは多くの友達とここへ遊びに来たのだ。その中には今は忘れられない女の友達も二三人はあった。もっと樹木が多くて夏は涼しく、むろんもっときれいであった。
じつに意外である。鳥居のまわりから、草ぼうぼうと生えてる。宮の前にはさすがに草は生えていないが、落葉で埋まるばかりになってる。「今の村の子供達は、もうこの社などで遊ばないのかしら。」自分はこうも思った。
松は三本とも大きい切り株ばかり残ってるが、かねて覚えのある太い根に腰をおろして、二三本しきしまを吸うた。いささか心も落ちついて見まわしてみれば、やはりなつかしい思い出が多い。上覆は破れて柱ばかりになってるけれど、御宝前と前に刻んだ手水石の文字は、昔のままである。房州石の安物のとうろうではあるが、一対こわれもせずにあった。