Japanische Klassiker mit Furigana
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はちのき
鉢の木
山本 周五郎
Lesen Sie 鉢の木 (はちのき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.534 Zeichen · 28 Bildschirme
家扶や家僕を遠ざけ、燭をかきたてて独り座につくと、われにもなく太息といっしょに「困った」と呟いた。かれが萩尾をおのれの妻にと思いきめてからかなり経つ、伝統の城ともいうべき古い屋敷のなかで、女性というものは亡くなった母ひとりしか知らず、男ばかりの召使のなかで成長した明け昏れは、侘しいものだった。豪族のひとり息子に生れたけれど、かれは古武士気質の父から厳しい躾をされ、起き臥しから兵法の稽古まで、一般のさむらいと少しも違わぬ育ち方をして来た、一郷を押えるほどの山林田地と家産があり、伝来の勢力があり、人なみには劣らぬ覇気をもちながら、豪族の動きを極端に警戒する時世に阻まれて、山里に逼塞したまま身ゆるぎもできず、二十七歳という年まで憂鬱の日を送ってきたかれは、萩尾をみいだしたとき初めて生きる目的を手にしたと思った、――萩尾が来て呉れたら佐伯家にも生命が吹きこまれるだろう、おれも肚を据えて郷土のためにひと仕事はじめられる、そういう確信さえうまれたのである。それから二年このかた、たとえどのような障碍があろうとも、必ずこの縁組はなし遂げてみせると、かたく心にきめてきた