Japanische Klassiker mit Furigana
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もん
門
Lesen Sie 門 (もん) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 139.830 Zeichen · 278 Bildschirme
それでも冷たい雨が横に降ったり、雪融の道がはげしく泥ったりする時は、着物を濡らさなければならず、足袋の泥を乾かさなければならない面倒があるので、いかな小六も時によると、外出を見合せる事があった。そう云う日には、実際困却すると見えて、時々六畳から出て来て、のそりと火鉢の傍へ坐って、茶などを注いで飲んだ。そうしてそこに御米でもいると、世間話の一つや二つはしないとも限らなかった。
「小六さん御酒好き」と御米が聞いた事があった。
「もう直御正月ね。あなた御雑煮いくつ上がって」と聞いた事もあった。
そう云う場合が度重なるに連れて、二人の間は少しずつ近寄る事ができた。しまいには、姉さんちょっとここを縫って下さいと、小六の方から進んで、御米に物を頼むようになった。そうして御米が絣の羽織を受取って、袖口の綻を繕っている間、小六は何にもせずにそこへ坐って、御米の手先を見つめていた。これが夫だと、いつまでも黙って針を動かすのが、御米の例であったが、相手が小六の時には、そう投遣にできないのが、また御米の性質であった。だからそんな時には力めても話をした。話の題目で、ややともすると小六の口に宿りたがるものは、彼の未来をどうしたら好かろうと云う心配であった。