Japanische Klassiker mit Furigana
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かのように
阿部一族・舞姫
Lesen Sie 阿部一族・舞姫 (かのように) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.875 Zeichen · 141 Bildschirme
しようと思っていると話した。
表通は中くらいの横町で、向いの平家の低い窓が生垣の透間から見える。窓には竹簾が掛けてある。その中で糸を引いている音がぶうんぶうんとねむたそうに聞えている。
石田は座布団を敷居の上に敷いて、柱に靠り掛かって膝を立てて、ポッケットから金天狗を出して一本吸い附けた。爺さんは縁端にしゃがんで何か言っていたが、いつか家の話が家賃の話になり、家賃の話が身の上話になった。この薄井という爺さんは夫婦で西隣に住んでいる。遅く出来た息子が豊津の中学に入れてある。この家を人に貸して、暮しを立てて倅の学資を出さねばならないということである。
それから裏側の方の間取を見た。こちらは西の詰が小さい間になっている。その次が稍や広い。この二間が表側の床の間のある座敷の裏になっている。表側の次の間と玄関との裏が、半ば土間になっている台所である。井戸は土間の隅に掘ってある。
縁側に出て見れば、裏庭は表庭の三倍位の広さである。所々に蜜柑の木があって、小さい実が沢山生っている。縁に近い処には、瓦で築いた花壇があって、菊が造ってある。その傍に円石を畳んだ井戸があって、どの石の隙間からも赤い蟹が覗いている。