Japanische Klassiker mit Furigana
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がん
雁
Lesen Sie 雁 (がん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.950 Zeichen · 147 Bildschirme
恋しい、恋しいと思う念が、内攻するように奥深く潜んで、あいつ楽な身の上になって、親の事を忘れたのではあるまいかと云う疑が頭を擡げて来る。この疑は仮に故意に起して見て、それを弄んでいるとでも云うべき、極めて淡いもので、疑いは疑いながら、どうも娘を憎く思われない。丁度人に対して物を言う時に用いる反語のように、いっそ娘が憎くなったら好かろうと、心の上辺で思って見るに過ぎない。
それでも爺いさんはこの頃になって、こんな事を思うことがある。内にばかりいると、いろんな事を思ってならないから、己はこれから外へ出るが、跡へ娘が来て、己に逢われないのを残念がるだろう。残念がらないにしたところが、切角来たのが無駄になったとだけは思うに違いない。その位な事は思わせて遣っても好い。こんな事を思って出て行くようになったのである。
上野公園に行って、丁度日蔭になっている、ろは台を尋ねて腰を休めて、公園を通り抜ける、母衣を掛けた人力車を見ながら、今頃留守へ娘が来て、まごまごしていはしないかと想像する。この時の感じは、好い気味だと思って見たいと云う、自分で自分を験して見るような感じである。