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Japanische Klassiker mit Furigana

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がん

雁

森 鴎外

Lesen Sie 雁 (がん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.950 Zeichen · 147 Bildschirme

Aozora Bunko

向いの岩崎の邸の事なんぞを思えば、同じ内にいるようなものだぜ。今からだって、行こうと思えば行けるのだが、まあ、あすの朝にするが好い」

お玉は火箸で灰をいじりながら、偸むように末造の顔を見ている。「でもいろいろと思って見ますものですから」

「笑談じゃないぜ。その位な事を、どう思って見ようもないじゃないか。いつまでねんねえでいるのだい」こん度は声も優しかった。

この話はこれだけで済んだ。とうとうしまいには末造が、そんなにおっくうがるようなら、自分が朝出掛けて来て、四五町の道を連れて行って遣ろうかなどとも云った。

お玉はこの頃種々に思って見た。檀那に逢って、頼もしげな、気の利いた、優しい様子を目の前に見て、この人がどうしてそんな、厭な商売をするのかと、不思議に思ったり、なんとか話をして、堅気な商売になって貰うことは出来まいかと、無理な事を考えたりしていた。しかしまだ厭な人だとは少しも思わなかった。

末造はお玉の心の底に、何か隠している物のあるのを微かに認めて、探りを入れて見たが、子供らしい、なんでもない事だと云うのであった。しかし十一時過ぎにこの家を出て、無縁坂をぶらぶら降りながら考えて見れば、どうもまだその奥に何物かが潜んでいそうである。