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Japanische Klassiker mit Furigana

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がん

雁

森 鴎外

Lesen Sie 雁 (がん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 73.950 Zeichen · 147 Bildschirme

Aozora Bunko

お常が四五歩通り過ぎた時、女中がいた。「奥さん。あれですよ。無縁坂の女は」

黙って頷いたお常には、この詞が格別の効果を与えないので、女中は意外に思った。あの女は芸者ではないと思うと同時に、お常は本能的に無縁坂の女だと云うことを暁っていたのである。それには女中が只美しい女がいると云うだけで、袖を引いて教えはしない筈だと云う判断も手伝っているが、今一つ意外な事が影響している。それはお玉が膝の所に寄せ掛けていた蝙蝠傘である。

もう一月余り前の事であった。夫が或る日横浜から帰って、みやげに蝙蝠の日傘を買って来た。柄がひどく長くて、張ってある切れが割合に小さい。背の高い西洋の女が手に持っておもちゃにするには好かろうが、ずんぐりむっくりしたお常が持って見ると、極端に言えば、物干竿の尖へおむつを引っ掛けて持ったようである。それでそのまま差さずにしまって置いた。その傘は白地に細かい弁慶縞のような形が、藍で染め出してあった。たしがらやの店にいた女の蝙蝠傘がそれと同じだと云うことを、お常ははっきり認めた。

酒屋の角を池の方へ曲がる時、女中が機嫌を取るように云った。