Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
いったんこうなると彼の良心は少しずつにごり出すのがくせだ。家の近くまでくると、彼はひそかに腹巻をさぐり、三千円だけをとり出して上着のポケットにいれた。おせいや二三子との戦闘準備である。負けたらこれだけを出し、あとは内しょにしておきたい算段だった。案の定二三子は、皮肉たっぷりに、
「いかがです。景気は。」
戦いはその一言できまった。彼は二三子の面前へだまって三千円を突き出したのである。二三子はたちまち相好をくずし、
「わたし、着物出してくるね。」
そこそこに質屋へかけ出した。まもなくもどってきたおせいもわけを聞くと、上きげんになり、夫のために豆腐屋へ走ったものだ。
三千円はたちまちのうちに消えてしまった。しかし兵六さんの腹巻の底にのこっている大金は日夜彼を落ちつかせなかった。
一そのこと、全部おせいに投げ出してやろうか。――
だがそれはうかつにできることではない。そうしたことで二三子は一時的には喜ぶにちがいないが、兵六さんの信用は地にもぐることうけあいだ。
わけをいって、残りだけでも夏樹にかえそうか。――
それも気が進まぬ。かえすなら、耳をそろえてかえしたい。