Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
二三おそわったそこは、どこもみな遠くはないが、電車かバスに少しずつ乗ってゆく所ばかりだった。困惑と不安で顔色もあおざめながら、それでも音枝の足は、まず一ばん近い医院へ向っていた。目をすえるようにして、
「あのう、こちらに宮川浜子が入院しておりますかしら。」
ここは男の医者だった。前と同じような問答の末、そこにも浜子がいないとわかると、音枝は次の医者へ走った。母のことを思うと、あせる胸を押えて要領よくなろうとした。
「ちょっとうかがいます。宮川浜子っていうんですけど、もしかすると別の名前で入院してるかもしれません。十九歳になる女ですの。妊娠中絶ですが入院してますかしら。」
やっぱり浜子はそこにもいなかった。わきあがる不安で音枝の足はがくがくしだした。家へ帰ると安江はまちかまえていたらしく、
「どこまでいっていたの。花屋が引越していたのかね。」
いきなり強い声でそういわれて、音枝ははっとした。花のことなどすっかり忘れはてていた。花どころではなかったのだ。彼女は一さいがっさい浜子のことに集中して、三時間近くをかけまわり、その日のおかずさえ何も買わずに帰ったのである。