Japanische Klassiker mit Furigana
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ざっきょかぞく
雑居家族
壺井 栄
Lesen Sie 雑居家族 (ざっきょかぞく) von 壺井 栄 (つぼいさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 140.106 Zeichen · 283 Bildschirme
しかし、それは不消化のまま、ついに吐きだす時がきた。夕食後、ぷいと立って部屋にこもろうとする音枝に、はげしくどなった。
「音枝! お前、へんだよこのごろ。なにをふくんでるのさ。かあさんの顔みるのがいやなら、それでもいいよ。何さ、日がな毎日、ぷりぷりばっかりしてさ。」
音枝は、わあ! と泣き声をあげて、裏口からおもての方へとび出した。
「音枝、音枝ちゃん!」
安江があわてて追っかけるあとから、文吉もかけ出そうとした。家の中では今度は冬太郎が大声で泣き出す。
「わあ! ぼくもつれてってエ。」
やがて電車通りを安江と音枝はだまって歩いていた。うしろから見ればきげんのよい親子のように手をつないで歩いた。音枝は手ばなしで泣きじゃくっていた。しかし、手をつないで歩いていることでお互いの気持がだんだんとけ合ってゆくのを、ふたりとも感じていた。安江は、自分も何となく涙っぽくなるのをがまんして、わざと何もいわなかった。あとから追いついて手をにぎった瞬間、何もいわなくてよいことをさとったのだ。音枝が素直に手をにぎられたまま反抗しなかったからだ。
――かわいそうに。とび出しはしてもかけこんでゆく家が、この子にはないのだ……