Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆきやなぎ
雪柳
泉 鏡花
Lesen Sie 雪柳 (ゆきやなぎ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.054 Zeichen · 90 Bildschirme
呼吸を詰めて見透すと、白い、細りした、女の手ばかりが水の中から舳に縋っているのであります。「さながら白き布かと見えて、雪のごとし」と、写本には書いてある。うつくしい女の手が布に見えたのは、嘘ではないらしい。狂言の小舞の謡にも、
十六七は棹に掛けた細布、折取りゃいとし、手繰りよりゃいとし……
肌さえ身さえ、手の縋った、いとしいのを。
「やあ、畜生。」
この怪もの、といったか、河童、といったか、記してないが、「いでその手ぶし切落さんと、若き人、脇指、」……は無法である。けだし首尾の松の下だけの英雄で、初めから、一人供をした幇間が慌てて留めるのは知れている。なぜにその手を取って引上げて見なかったろう。もし枝葉に置く霜の影に透したらんに、細い腕に袖絡み、乳乱れ、褄流れて、白脛はその二片の布を流に掻絞られていたかも知れない。
船頭もまた臆病すぎる。江戸児だろうに、溺れた女とも、身投とも弁えず、棒杭のようにかたくなって、ただ、しい、しい、静にとばかり。おのおの青くなって、息を凝らすうちに――「かの白き手、舳をはなし、水中に消入りぬ。」……
潮に乗って船は出た。
「が、しかし、水に溺れましたか、あるいは身投の婦人が苦しさのあまり、助りたさにとも申すような……」