Japanische Klassiker mit Furigana
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きりのばんしゃ
霧の蕃社
中村 地平
Lesen Sie 霧の蕃社 (きりのばんしゃ) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.389 Zeichen · 57 Bildschirme
そして、成長したのちその火傷の胸に残った無気味な記憶を想い浮かべるたびに、彼は悲憤に心のたぎりたつのを覚えるのである。
父や母やの死の責任がどこに在るかを考えるいとまも無い。ただ、悪夢のような古い、幼かった記憶のなかに動いている内地人の顔が一途に憎いのである。彼は内地人に対して常に強い復讐の気もちを抱いていた。そしてひたすらその機会をねらっていた。モーナルーダオの誘いは、そういう彼にとっては、またと得がたい機会であった。
タイモポホツクも、またヒポサツポやヒポアリスに同じいホウゴウ社に住まっていた。
生来の不具の上に怠け者である。誰も妻になろう、という者がない。自棄になって酒ばかり飲んで暮らしていたが、考えた。
「この上は首伐りをして、社中の尊敬と、妻とを一時に手に入れるよりか仕方がない」
このタイモポホツクも、ヒポアリスとヒポサツポとは仲間に語らい、モーナルーダオの耕作小舎に連れこんできた。
いったい、蕃界の田畑といえば、その多くは殆んどすべて山の傾斜面を利用した狭い、急な土地である。蕃屋から半里も一里も離れた場所に在るのが普通である。蕃人たちは、そこにわずかに雨露をしのぐに足る掘立小舎をたてておいて、耕作時に寝泊りする習慣にしている。