Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
せいねん
青年
Lesen Sie 青年 (せいねん) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 123.670 Zeichen · 246 Bildschirme
れても、価値を減ぜずにいて、今も坂井家では、これによって少からぬ収入を得ているのである。純一も先生が四十を越すまで独身でいて、どうしたわけか、娘にしても好いような、美しい細君を迎えて、まだ一年と立たないうちに、脊髄病で亡くなられたということは、中学にいた時、噂に聞いていたのである。
噂はそれのみではない。先生は本職の法科大学教授としてよりは、代々の当路者から種々な用事を言い附けられて、随分多方面に働いておられたので、亡くなられた跡には一廉の遺産があった。それを未亡人が一人で管理していて、旧藩主を始め、同県の人と全く交際を絶って、何を当てにしているとも分からない生活をしていられる。子がないのに、養子をせられるでもない。誰も夫人と親密な人というもののあることを聞かない。先生の亡くなる僅か前に落成した、根岸の villa 風の西洋造に住まっておられるが、静かに夫の跡を弔っていられるらしくはない。先生の存生の時よりも派手な暮らしをしておられる。その生活は一の秘密だということであった。
純一が青年の空想は、国でこの噂話を聞いた時、種々な幻像を描き出していたので、坂井夫人という女は、面白い小説の女主人公のように、純一の記憶に刻み附けられていたのである。