Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

ぎょもん

魚紋

吉川 英治

Lesen Sie 魚紋 (ぎょもん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.582 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

後は――この碁会所の主が一人。

今し方、夜食の鮓が台所へ入ったから、茶を入れる支度をしているのであろう、茶の間のほうで瀬戸物の音がしている。

『かまきりさん』

そこから声がして、

『もう、お鮓を出してもよござんすか』

伝九郎は舌打ちして、

『よしてくれ、かまきりなんて呼ぶなあ。――悪党じゃあるめえし』

『ホホホホ。だって、呼ぶ人がきれいな女だと、振向くじゃないの』

『からかうのか、師匠』

『よそう、おまえさんが怒ると、ちょっと凄いからね。――お鮓は』

『まだ、山岡屋と玄庵の勝負が片づかねえから、もすこしの間、そっちへ置いといてくれ』

『だいぶ大戦だとみえますね』

そう云いながら、碁会所の女主人は、茶の間から出て来た。髪を切下げにしているけれど、年はまだやっと二十四、五にしか見えない。いつも被布を着て崩したことがない。十六の頃からさる北国の大名のお部屋様として栄華をしつくして来たが、その大名の近習の者と恋をして、やがて浮名が立つと、腹を切った男をすてて、自分ひとりで越後から江戸まで逃げのびて来たという履歴を持っていた。

さすがに、琴、茶、花、何でも嗜みがあって、絵もすこし描くし、わけて碁は生れつきの才分とみえ、大名の奥にいた頃、宗家から女で四段の許しをもらっていた。