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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぎょもん

魚紋

吉川 英治

Lesen Sie 魚紋 (ぎょもん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.582 Zeichen · 30 Bildschirme

Aozora Bunko

(――お可久様)

近所の者や御用聞きは、みな「様」をつけて呼んでいた。この本所の裏町では、彼女の高貴めいた身装だの端麗な目鼻立ちが、掃溜の鶴と見えるらしく、妙な尊敬を持つのだった。

お可久様も又、それを当然として、内輪でこそ砕けているが、往来へ出ると頭が高かった。

(あの女は元、大名のお部屋様だったのだそうだ)

(道理で、品がある)

(町女には、ああいうのは居ない)

(すごいな)

頭の高いのがよく見えるのだから可笑しい。彼女が、今の家に、囲碁指南のかんばんを掛ると、かねがね、眼をつけていたのが早速に集まった。

ずいぶん贅沢をやって暮しているが、それは蟻のように皆、甘い男たちが運んで来るらしい。もっとも初めは指南だけであったが、いつの間にか、賭碁が専らになり、そのほうの収益も尠くない。そしてお可久様を張りに来ている連中も、だんだん篩にかけられて、粘り強い者だけが、今では、碁盤の外の勝敗に鎬を削っているのであった。

浮世絵師の喜多川春作。

山岡屋の番頭才助

御家人のかまきり。

それから外科医の玄庵。

――と、こう四人は、その中でも、毎晩のように詰かけて、碁には負けても、そのほうでは一歩も退かない意気を示している徒輩であった。