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Japanische Klassiker mit Furigana

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たそがれ

黄昏

宮本 百合子

Lesen Sie 黄昏 (たそがれ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.500 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

その時も、おくめは、云い表し難い屈辱を、世間と娘とに感じながら口では平気らしく、

「結構だとも?」

と云った。

「どうせ、姉さんなんぞは私に用のある筈もないからね。私は、これでも、お前に近くなってちょくちょく会えるのが楽しみなんだよ。

自分さえする気にならなければ、何にも、他人の家の台所なんぞをしないたってよいのだけれども――」

一つは、来てくれとも云われないのに、行くものかという心持からおくめは、一本の手紙さえ書かずに今日まで過して来たのである。

けれども、こうやって思いがけない時、のぶ子にすすめられ、懇願されて見ると、おくめの心は動いた。

行けば面倒とは知りながら、もう足掛二年会わないふさ子の面影、写真で見たばかりの初孫(ういまご)の丈一の姿が、何ともいえない感じを伴って心に迫って来た。

彼女は冷静に鎮っていた血液が、体の奥から俄に暖かく、どくどくと流れ出したような気持になった。

「行くのもよいが、また、そんな髪をして来たのかって、早速小言を聞かされるだろうね」

口では、はっきりしたことを云わないでも、おくめは目に見えて急(せ)き立ち始めた。どことなく頬の辺を上気させ、眼をせわしく動かして棚から小鉢などを取り卸す。