Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
しかし、その一列のうちに注目すべき現象が現われていたと云うのは、その萌黄匂を中心にして、左右の全部が等しく斜めに向いているばかりでなく、その横向きになった方向が、交互一つ置きに一致していて、つまり、右、左、右という風に、異様な符合が現われている事だった。法水がその面当を外すと、そこに易介の凄惨な死相が現われた。はたせるかな、法水の非凡な透視は適中していたのだ。のみならず、ダンネベルグ夫人の屍光と代り合って、この侏儒の傴僂は奇怪千万にも、甲冑を着し宙吊りになって殺されている。ああ、ここにもまた、犯人の絢爛たる装飾癖が現われているのだった。
最初眼についたのは、咽喉につけられている二条の切創だった。それを詳しく云うと、合わせた形がちょうど二の字形をしていて、その位置は、甲状軟骨から胸骨にかけての、いわゆる前頸部であったが、創形が楔形をしているので、鎧通し様のものと推断された。また、深さを連ねた形状が、「凵」のような形形をしているのも奇様である。上のものは、最初気管の左を、六センチほどの深さに刺してから刀を浮かし、今度は横に浅い切創を入れて迂廻してゆき、右側にくると、再びそこへグイと刺し込んで刀を引き抜いている。