Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme

Aozora Bunko

されば

傍人、耳を覆いて遁れ去りしとぞ

ところが、キイゼヴェッテルの「古代楽器史」を見ると、月琴は腸線楽器だが、平琴の十世紀時代のものになると、腸線の代りに金属線が張られていて、その音がちょうど、現在の鉄琴に近いと云うのだがね。そこで、僕はその妖異譚の解剖を試みたことがあった。ねえ熊城君、中世非文献的史詩と殺人事件との関係を、ここで充分咀嚼してもらいたいと思うのだよ」

「フン、まだあるのか」と熊城は、唾で濡れた莨とともに、吐き出すように云った。「もう角笛や鎖帷子は、先刻の人殺し鍛冶屋で終りかと思ったがね」

「あるともさ。それが、史家ヴィラーレの綴った、『ニコラ・エ・ジャンヌ』なんだ。奇蹟処女を前にすると、顧問判官どもがブルブル慄えだして、実に奇怪きわまる異常神経を描き出したのだ。その心理を、後世裁判精神病理学の錚々たる連中が何故引用しないのだろうと、僕はすこぶる不審に思っているくらいなんだよ。ところで、この場合は、すこぶる妖術的な共鳴現象を思いついたのだ。つまり、それを洋琴で喩えて云うと、最初音名「一点ハ」の全音符を表わす楽譜の鍵を音の出ないように軽く押さえて、それから音名「い」