Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
「いや、トムセン(丁抹(デンマーク)の史学者。バイカル湖畔南オルコン河の上流にある突厥人の古碑文を読破せり)で結構さ」と法水は劣らず云い返したが、その言葉の下から、俄然ただならぬ風雲を捲き起してしまった。「勿論僕に、たいした史学の造詣はないがね。しかし、この事件では、オルコン以上の碑文を読むことが出来たのだ。君はしばらく広間にいて、今世紀最大の発掘を待っていてくれ給え」
「発掘※(感嘆符疑問符、1-8-78)」熊城は仰天せんばかりに驚いてしまった。しかし、法水が心中何事を企図しているのか知る由はないといっても、その眉宇の間に泛んでいる毅然たる決意を見ただけで、まさに彼が、乾坤一擲の大賭博を打たんとしていることは明らかだった。間もなく、この胸苦しいまでに緊迫した空気の中を、乙骨医師と入れ違いに、喚ばれた田郷真斎が入って来ると、さっそく法水は短刀直入に切り出した。
「僕は率直にお訊ねしますが、貴方は、昨夜八時から八時二十分までの間に邸内を巡回して、その時古代時計室に鍵を下したそうでしたね。しかし、その頃から姿を消した一人があったはずです。いいえ田郷さん、昨夜神意審問会の当時この館にいた家族の数は、たしか五人ではなく、六人でしたね」