Japanische Klassiker mit Furigana
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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
Lesen Sie 黒死館殺人事件 (こくしかんさつじんじけん) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 296.741 Zeichen · 584 Bildschirme
勿論その二点を脈関しているものは、この事件の底で、暗の中に生長しては音もなく拡がってゆき、しだいに境界を押し広めていったものに相違なかった。が、折が折だけに、検事と熊城には、今やその恐怖と空想が眼前において現実化されるような気がして、思わず心臓を掴み上げられたかの感がするのだった。しかし、一方の鎮子にも、法水の口からディグスビイの名が吐かれると、あたかも謎でも投げつけられたように、懐疑的な表情が泛んできて、それが、彼女の心を確かと捉えてしまったもののように見えた。だいたい、憑着性の強い人物というものは、一つの懐疑に捉えられてしまうと、ほとんど無意識に近い放心状態になって、その間に異様な偶発的動作が現われるものだ。ちょうどそれに当るものか、鎮子は左の中指に嵌めた指環を抜き出しては、それをクルクル指の周囲で廻しはじめ、また、抜いてみたり嵌めてみたりして、頻りと神経的な動作を繰り返しているのだった。すると、法水の眼に怪しい光が現われて、その一瞬声の杜絶えた隙に立ち上った。そして、両手を後に組んだまま、コツコツ室内を歩きはじめたが、やがて鎮子の背後に来ると、突然爆笑を上げた。